孤独なおちんちん

かなり恥ずかしがり屋な30代独身男性の孤独なブログ(U)主に自己啓発系の書評や自分の人生について語ります(U)

ツチヤタカユキ氏の『笑いのカイブツ』を読んで僕は狂気を手に入れることを諦めた

広告

f:id:mowan:20170828224153j:plain

僕は狂気を手に入れたいとずっと願っていた。
でもこの本を読んで考えが変わった。
狂気と破滅は背中合わせなのだということがよくわかった。

 

『笑いのカイブツ』は、伝説のハガキ職人としてラジオ好きの間では知られているツチヤタカユキさんの人生を描いた私小説だ。
オードリーの若林さんがテレビでその名前を出したこともあるので、名前だけは聞いたことがあるという人もいるかもしれない。

 

ツチヤさんの中には笑いのカイブツが棲んでいる。
そのカイブツはツチヤさんをお笑いの呪縛で縛り付ける。
ツチヤさんはお笑いの呪縛に苦しみ続けることになる。

 

ツチヤさんの心は常に渇いている。
決して満たされることのない渇きが狂気を生む。
そしてツチヤさんはボケを量産し続ける。

 

僕はそんなツチヤさんが羨ましいと思った。
理由は、ツチヤさんの唯一の友達であるピンクさんが本の中で言っていたのと同じだった。


何かに没頭できていることが羨ましい。
ピンクさんは退屈に耐えられずに女遊びをしたりお金を浪費したり犯罪を犯したりした。
それでも満たされることのない、虚しい毎日。
ピンクさんの気持ちはよくわかる。


没頭できる何かが無い退屈な日々というものは想像以上にツラい。
やりたい事が無くて、やらなければならないことばかりをこなして過ごす日々は精神を壊していく。
そして僕は心療内科に通う羽目になった。
退屈は精神を破壊する。

f:id:mowan:20170828224142j:plain


それ以来僕は気が狂うくらい没頭できるものを探し求めてきた。
でも結局ピンクさんと同じで虚しい浪費が続くだけだった。
なぜ僕は人生を懸けられるくらい没頭できるものができないのだろう。
ずっとわからなかった答えが、『笑いのカイブツ』の中にあった。

 

狂気とは何か。
狂気とは、全てを犠牲にして1つのことに執着し没頭すること。
ツチヤさんは文字通り全てを捨ててお笑いに没頭していた。
その生活は完全に破綻していた。


まともに人間関係が築けない。
無駄話をしているくらいなら一本でもボケを作りたかったから。
バイトもまともにできない。


バイト以外の時間、時にはバイトの時間も全てボケの量産に費やしていたから当然だ。
それほどツチヤさんはお笑いに没頭していた。
これが狂気。


ピンクさんも僕も、そしてほとんどの人は全てを犠牲にしてまで1つのことに没頭することはできない。
社会でまともに生きていこうと思えば、バランスを取ることが必要になる。
僕が人生を懸けられるくらい没頭できるものが手に入らないのは、バランスをぶち壊せないからだ。


没頭したいもの以外を捨てる勇気が無いから狂気を手に入れることができない。
それが自然にできているツチヤさんが羨ましいと思った。

 

でも『笑いのカイブツ』を読み進めていくうちに、狂気は決して美しいものでは無いということに気付かされた。
笑いのカイブツに取り憑かれたツチヤさんの頭の中はドロドロでグチャグチャで、決して幸せなものではなかった。


きっとツチヤさんはお笑いで社会的に成功したとしても、幸せになることはないだろうなと思う。
お笑いへの執着は果てることがない。


お笑いで成功してもお笑いを辞めても執着は膨らんでいく。
ツチヤさんの渇きは絶対に癒えることが無い。
もし癒える時が来るとしたら、それは命を失う時なのだろう。

 

進むも戻るも苦しみしかない。
ああ、狂気とは破滅なんだなとわかった。
狂気で人生が破壊されるくらいなら退屈で憂鬱な方がまだマシかもしれないと思いようになった。


狂気には憧れるけど、狂気に染まりたくはない。
そんな訳のわからないドロッとした読後感で僕は『笑いのカイブツ』を読み終えた。